月末の午後、Excelを何枚も開いたまま、同じ説明をClaudeに繰り返し書いている——そんな自分に気づいたことはないだろうか。僕は最近、これを週に何度もやっていた。
そんなとき、Claude Codeを触っていて「エージェント」という言葉に出会った。
「Claudeそのものがエージェントじゃないの?」「エージェントの中にエージェントがいるの?」——最初は、正直ピンと来なかった。
調べてみたら、これはClaude Codeの隠れた強力な機能のひとつだった。使いこなせると「毎回同じ指示をする」自分から卒業できる可能性を感じた。
今日は、Anthropic公式ドキュメントで調べた内容をベースに、「エージェントって何?」で立ち止まった人向けの学習ノートをまとめる。Anthropic公式ドキュメント(2026年4月時点)で確認できた内容だけで構成している。
先に結論。エージェントを3行で
- エージェント(サブエージェント)は、別のコンテキストで動く「専門の分身AI」
- Claude Codeには最初から組み込みエージェント(Explore / Plan / general-purpose)が用意されている
- 自作するにはMarkdownファイル1枚(YAMLフロントマター+本文)を置くだけ
サブエージェントって、そもそも何なのか
公式ドキュメントには次のように書かれている。
Subagents are specialized AI assistants that handle specific types of tasks. […] Each subagent runs in its own context window with a custom system prompt, specific tool access, and independent permissions.
引用元:Claude Code Docs – Create custom subagents
直訳すると「サブエージェントは、特定のタイプのタスクを処理する専門化されたAIアシスタント。各サブエージェントは、独自のコンテキストウィンドウ、カスタムシステムプロンプト、特定のツールアクセス、独立した権限を持って動作する」。
噛み砕くと、「メインのClaudeの横に、別の小部屋で作業してくれる専門家のClaude」を雇えるイメージだと僕は受け取った。
しかも、その専門家は「自分のコンテキスト」を持っていて、メイン会話の記憶を汚さずに仕事をして、結果だけ返してくれる。
何が嬉しいのか——公式が挙げる5つのメリット
公式ドキュメントでは、サブエージェントのメリットとして次の5つが挙げられている。
- コンテキストを守る:探索や実装をメイン会話の外に出せる
- 制約を強制する:サブエージェントが使えるツールを限定できる
- 設定を再利用する:ユーザーレベルのサブエージェントで複数プロジェクト横断
- 振る舞いを専門化する:特定ドメイン向けのシステムプロンプトを設定できる
- コストを抑える:速くて安いモデル(Haikuなど)にタスクを振れる
特に最初の「コンテキストを守る」が僕には刺さった。
ログの大量出力やファイル検索結果でメインの会話が埋め尽くされる経験、Claude Codeを使っていると何度も起こる。それをサブエージェントの別部屋で処理して、要約だけ返してもらえるのは、作業のテンポを一気に上げる。
最初から入っている3つの組み込みエージェント
Claude Codeには、最初から使える組み込みエージェントが3種類+補助エージェント用意されている(公式記載)。
| エージェント | モデル | 何をしてくれるか |
|---|---|---|
| Explore | Haiku(高速・低レイテンシ) | コードベースの検索・分析(読み取り専用) |
| Plan | メイン会話を継承 | プランモードで使う調査エージェント(読み取り専用) |
| general-purpose | メイン会話を継承 | 複雑な多段階タスク(全ツール使用可) |
| statusline-setup | Sonnet | /statusline 設定時に自動起動 |
| Claude Code Guide | Haiku | Claude Codeの機能について質問したとき自動起動 |
これらは自分で呼び出さなくても、Claudeが状況を見て適切なときに勝手に使ってくれると公式に書かれている。コードベースを検索するときは Explore、複雑な多段階タスクのときは general-purpose、という具合だ。
/agents コマンドで管理する(CLI版の機能)
Claude Code CLI版(ターミナル版)では、/agents コマンドでエージェントの一覧表示・作成・編集・削除ができる、と公式ドキュメントに明記されている。
CLI版での手順:
- ターミナルで
claudeコマンドを起動 - プロンプトに
/agentsと打つ - 表示されるメニューから「Library」タブを選び、エージェントの一覧や作成ができる
デスクトップアプリしか使っていない場合でも、自作エージェントの「ファイル」は共通して使える。後述の「自作の作り方」の通り、Markdownファイルを所定のフォルダに置けば、デスクトップアプリからも呼び出せる(設定はCLIと共有される、と公式の Desktop Quickstart に明記)。
自作エージェントの作り方(3ステップ)
公式ドキュメントで紹介されている自作エージェントは、Markdownファイル1枚に収まるシンプルな仕組みだった。
ステップ1:フォルダを決める
置き場所と適用範囲は次の通り(公式記載)。
| 場所 | スコープ | 優先順位 |
|---|---|---|
| 管理ポリシー | 組織全体 | 1(最高) |
--agents CLIフラグ | 現在のセッション | 2 |
.claude/agents/ | 現プロジェクト | 3 |
~/.claude/agents/ | 全プロジェクト(個人) | 4 |
プラグインの agents/ | プラグイン有効箇所 | 5(最低) |
個人で使うなら~/.claude/agents/ に置けば、全プロジェクトで使える。
ステップ2:エージェント名.md というファイルを作る
ファイルの中身は、YAMLフロントマター(設定)とMarkdown本文(システムプロンプト)の2段構成。
---
name: code-reviewer
description: コードの品質やベストプラクティスをレビューする
tools: Read, Glob, Grep
model: sonnet
---
あなたはコードレビュアーです。呼び出されたら、
品質・セキュリティ・ベストプラクティスについて
具体的で実行可能なフィードバックを提供してください。
必須項目は name と description の2つだけ。description は「このエージェントをいつ使うか」を書く欄で、Claudeがここを見て「このタスクにはこのエージェントだ」と判断する(公式記載)。
ステップ3:呼び出す
作成したエージェントは、Claudeに「〇〇エージェントを使って△△して」と依頼するか、Claude自身が状況判断で自動的に使う。
公式ドキュメントの例:
Use the code-improver agent to suggest improvements in this project
「code-improverエージェントを使ってこのプロジェクトの改善提案をして」と日本語で依頼しても同じように動く。
ツール制限で「安全な専門家」を作れる
自作エージェントの強力なポイントは、使えるツールを限定できること。
たとえば「Read / Grep / Glob / Bashのみ」と許可すれば、ファイル書き換えや削除ができない安全な調査専用エージェントが作れる(公式記載)。
---
name: safe-researcher
description: 書き換えをしない、調査専用のエージェント
tools: Read, Grep, Glob, Bash
---
逆に disallowedTools で「WriteとEditだけは禁止」という書き方もできる。「やってはいけないこと」を明文化できるのは、AIに安心して仕事を任せるうえで大事なポイントだと感じている。
業務で使う前に——知っておくべきリスク
サブエージェントは強力だが、会社の業務で使う前提なら次の点を押さえておくべきだ。
- 機密情報の扱い:決算前の数字・取引先名・顧客データなどをエージェントに投げる前に、社内の生成AI利用ポリシーを必ず確認する
- 出力は必ず人間が検算する:エージェントの結果をそのまま使うのではなく、数字・固有名詞・ロジックを自分の目で検証する
- ツール制限を効かせる:重要な業務用エージェントほど
toolsやdisallowedToolsで権限を絞る - 仕様変更の可能性:
/agentsコマンドなど一部の挙動は将来変わる可能性がある。最新情報は公式ドキュメントで確認する
43歳・財務経理の僕が使えそうな場面(推測)
ここからは、自分の業務に引き寄せた適用のイメージ。実装して効果を測ったものではなく、「こう組めば業務が回りそう」という見立てとして読んでほしい。
1. 月次決算チェック専用エージェント
決算チェック専用の「monthly-closer」エージェントを ~/.claude/agents/monthly-closer.md に用意し、「仕訳の総額確認」「経費伝票の整合」「予実差異の洗い出し」の手順を書いておく。
毎月初めに「monthly-closer使って」と頼めば、毎回同じチェック手順でClaudeが動いてくれる計算になる。
仮に毎月の決算チェックの指示出し+やり取りが60分かかっているとして、半分の30分に短縮できたら年間6時間の工数削減。時給3,000円換算で年間18,000円相当の時間が浮く見立てだ。
2. 稟議書レビュー専用エージェント
「ringisho-reviewer」エージェントに、うちの会社の稟議書フォーマット(背景・目的・効果・コスト・リスク・代替案)を教え込む。
部下の稟議書を流し込んで「ringisho-reviewer使ってレビュー」で、観点漏れを事前に指摘してもらう使い方ができそうだ。
3. 会計用語の解説専用エージェント
若手からの質問対応で毎回同じ説明をしているなら、「accounting-term」エージェントに相手の理解度に合わせた説明スタイルを仕込んでおく。
読み取り専用のツールだけ許可すれば、データを触られない安全な先輩AIができあがる。
3つを合算すれば年間20〜30時間くらいの工数削減が見込めそうだ。経理20年の仕事は、振り返ると「同じ手順の繰り返し」が山ほどある。ここがAIに頼める仕事だと感じる。
今日から始める最小の一歩——コピペで動く3つの試し方
いきなり自作エージェントを作る必要はない。まず組み込みのExploreエージェントを意識して使ってみるだけで、体験が一段上がる。次の3つのうち、自分のプロジェクトに近いものをそのままコピペして、Claude Codeに送ってみてほしい。
試し方A:プロジェクトの構造を素早く把握する
Exploreエージェントを使って、このプロジェクトの構造を調べて要約してください。
試し方B:特定のファイル群だけを読ませる
Exploreエージェントを使って、srcフォルダ以下のファイル構成と、
主要な役割を5行以内で要約してください。
試し方C:読み取り専用で調査だけしてもらう
Exploreエージェントを使って、このプロジェクトで
「TODO」または「FIXME」を含むファイルだけを挙げてください。
これらを試して、別部屋で調査して要約だけ返ってくる体験ができたら、次はあなた専用の自作エージェントに進めばいい。
今日のまとめ——エージェントは「別部屋の専門家」
- サブエージェントは、別のコンテキストで動く「専門の分身AI」
- 最初から Explore / Plan / general-purpose の3つが組み込まれている
- CLI版では
/agentsコマンドで管理できる - 自作はMarkdownファイル1枚(YAMLフロントマター+本文)で完結
toolsやdisallowedToolsで使えるツールを限定できる- 業務で使うなら 機密情報の扱い・出力の検算・社内ポリシー確認が前提
- まずはコピペで組み込みExploreを試すところから
「エージェント」という言葉に怯んでいた自分に、「これは別の部屋で働いてくれる専門家の同僚だよ」と伝えたい。
一人で全部やらなくていい。分担できる相手が、Claude Codeの中にちゃんと用意されている。
なお、この記事の内容は2026年4月時点のもの。/agents コマンドや組み込みエージェントの挙動は今後変わる可能性があるので、最新情報は公式ドキュメントで必ず確認してほしい。


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